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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

高校で見出せなかった居場所を見つけて、
福祉職に全力投球。頼りにされる存在に。

小澤悠香(おざわ・ゆうか)

小澤悠香(おざわ・ゆうか)



特定非営利活動法人 活き生きネットワーク リフォーム部


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活き生きネットワーク

高校中退後、強い思いを持って福祉職へ

「活き生きネットワーク」で働きはじめたのは、17歳のとき。父がこちらのヘルパーさんと知り合いだった関係で紹介していただき、高校を中退して入社しました。高校時代は、今思えば周りに流されてしまっていたのだと思います。友達と遊びまわることがとにかく楽しくて。問題を起こしてしまったときに先生が家にきて、「学校に戻るのか、退学するのか早く決めなさい」と言われ「もういいや」と思ってしまったんです。そのときは「いろいろ悩んでいるのになんでそんなに焦らせるの」と考えていましたね。周りの大人に対して反抗したい気持ちもあったのかもしれません。
 私の実家は山間部にあったため、高校入学と同時に寮生活をはじめました。うちは父子家庭で送迎が難しかったこともあって。兄弟もいましたし、母がいないことで父が苦労する姿を見ており、早く親元を離れて負担を減らしたい気持ちもありました。寮生活はとても楽しくて、遊んでいて「これでいいのかな」と思うこともありましたが、行いを止める人もなく、やめることはできませんでした。
 家族に対しては「ここまで育ててもらったのに本当に申し訳ない」という気持ちでいっぱいでしたね。だから、高校を辞めるときに心に刻んだんです。「仕事は絶対に辞めない」と。そう決めて、父とも話をしたのを覚えています。

21歳のときには清掃現場の責任者に

 福祉の仕事に対する興味は、元々持っていました。中学生のときには、静岡県の「サマーショートボランティア」に参加して福祉施設を訪問したり。学校生活の中でも、トイレ掃除など人が進んでやりたがらないことや、先生の手伝いなどを率先してやっていました。そういうことが好きだったんですよね。高校時代は、それまでと生活が変わって遊ぶことに夢中になってしまった一方で、興味のあった福祉関連の選択科目は全てとって勉強もよくしたし、ボランティアサークルに入って公園清掃などもしていました。考えてみると、当時遊んでいた友達はそこにはいなくて、一人で参加していましたね。
「活き生きネットワーク」で働きはじめてまず思ったのは、いろんな仕事をしている団体だなということ。託児ルームやデイサービス、障害者支援、リフォーム事業ほか、市の緊急サポートセンターとして病児の預かりなども行っています。それと、17歳で高校中退の私をよく採用してくれたな、と思いました。福祉の仕事をしたいといっても、資格はないし、本当にすべてが初めてだったから。とはいえ、仕事に対する先入観はありませんでしたね。ああ、こういうものなんだと思いました。多少の不安はありましたが、「仕事はしっかりやる」という心構えは揺らぎませんでした。
 入社当時は、託児ルーム「エンジェルハウス」で子どもたちの世話をしたり、除草作業をしたり、高齢者の方のお世話をする機会もありましたね。当時からいろんなことをさせていただいたと思います。怒られたことはあまりないですね。自分が何をするべきか考えてとりあえず動いてみる、ということはできていたと思います。ですが、もちろんそれで満足はしません。反省は毎日します。「もう少し何かできたら」「もっと声をかけてあげられたら」というようなことはいつも考えますね。
 19歳頃からは、現在も担当している重症心身障害者施設の清掃を行うようになりました。約2年後には、責任者として現場を任されることになったので、他の職員をまとめる力も求められるようになったんです。ですが、初めのころは苦労の連続でしたね。皆さん年上なので、私の言うことをそのまま受け入れるのは難しかったのだと思います。でも周りの人に「悠香ちゃんならできるよ」と言ってもらえて、そう言われたらやるしかないと思いました。
 それで、まずは動いてみることにしました。他の人の倍以上動いて作業をして、見本となれれば、私のことを認めてくれるのではないかと思ったんですね。また、休憩中にプライベートな話をしたりとコミュニケーションを意識してとるようにしました。障害のある人も働いているのですが、耳の不自由な人には目で見て分かるツールを作ったり、知的障害のある人には分かりやすい言葉で伝える努力などもしましたね。それらがうまくいったのか、今はそれぞれの人が自分の役割を果たしていて、仲よく仕事ができています。

助け合いのある環境で向上心を持って働く

 現在は、施設清掃を午前からお昼にかけてと、夜に行うほか、空いている時間にベビーシッターや居宅サービスに出かけたり、早朝の緊急サポート依頼の対応をしたりすることもあります。できることは何でもする、依頼があればできる限り断らないようにする、ということをモットーとしているんです。私は独身で若いから、長時間働けない人の分まで頑張りたいです。性格も、常に動いていたほうが気持ちがいいんです。
 もちろん、私がサポートしてもらうこともあります。ここでは、何かあると必ず誰かがフォローしてくれます。さまざまな事業部が横で繋がっていて、うまく連携がとれているので働きやすいなと思います。雰囲気もとてもよくて、休日にみんなで遊びに行ったり、飲みにいったりすることもしょっちゅうなんですよ。こんなふうにお互いが協力し合えていることって、なかなかできないことなんじゃないかなと思いますね。
「活き生きネットワーク」で働き始めて今7年目。23年のうちの7年ですから結構長いですよね。私と同じ時期に入った、16歳から18歳の年齢の仲間も、みんなそれぞれの事業部で頑張っています。なかには、同期で60歳~70歳の方も入ってきたり、80代の方も頑張っていて、私自身ももっと頑張らなくてはならないなと思っています。今ではスタッフに「困ったことがあったら悠香ちゃんに」と頼りにしてもらえ、ありがたいことに、施設を利用してくださるお母さんなどからも信頼してもらっています。学校に通っていたときよりも、今ここで仕事をしているほうが楽しいですね。以前は自分に負けてしまう部分がありましたが、今は自分の意思で動けるようになったと思います。仕事を始めて何かが切り替わり、スイッチが入った感じですね。
 今は、より仕事の幅を広げるため、介護福祉士や保育士の資格を取得したいと思って勉強しているんです。保育士資格は高校卒業が受験条件なので、もう一度高校に行きたい気持ちもあります。通常通り働きながら、通信教育を受けたいなと。「体壊さないでね」とよく言われるんですけど、まだまだやりたいですね。そのほうがありがたいかなと思うんです。

※杉本彰子(「活き生きネットワーク」理事長)

取材日:2011.2



静岡県静岡市生まれ 静岡市在住


【 略 歴 】

2004 高校中退
2004 特定非営利活動法人 活き生きネットワーク入社
2005 ホームヘルパー2級取得
現在、介護福祉士資格取得のため勉強中

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