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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

風船で世界を「カワイイ」と言わせるアーティスト。
夢はまだ膨らむ。

家泉あづさ(いえいずみ・あづさ)

家泉あづさ(いえいずみ・あづさ)


バルーンアーティスト
有限会社梯参 バニーズバルーンファクトリー 代表取締役社長


- WEBサイト -

BUNNY'S BALLOON FACTORY

こんなカワイイ風船をつくってみたい!

 バルーン・アートとの出会いは高校生の時。アメリカのサンディエゴにホームステイした時、スーパーの飾り付けやプレゼント用のバルーン・アートを見て「カワイイ」と思って興味をもったのがきっかけです。日本に帰ってきてからも映画やテレビで、パーティーの飾り付けや大統領選のキャンペーンに風船が使われているのを見て、自分もこんなカワイイ風船をつくる仕事がしてみたい、そう思いました。
 それで97年、東京にあるバルーン・アートのスクールで、4日間の基礎講習を受けました。風船の膨らまし方、結び方、あとはヘリウムガスの扱い方とか、学んだのは本当の基礎ですね。その後は独学でいろいろ研究しました。他のバルーン・アーティストのお仕事の現場で勉強させていただいた部分もあります。
 フワフワ浮いている風船を見ていると、ワクワク楽しい気分になりますよね。バルーン・アートは、風船をたくさん組み合わせて大きな形にしたり、束ねて華やかに見せますが、魅力という点では基本的に風船と同じです。
 あと、風船は素材によって長いものなら数年もつものもあるのですが、例えばゴム風船の場合、だいたい1週間、設置する環境によっては数時間という寿命しかないんです。いちばんキレイなシーンだけ見てもらい、その後は消えていく、そういう「はかない美しさ」みたいなところもバルーン・アートの魅力だと思います。

仕事が仕事を呼び世界からもオファー

 最初はとにかく楽しくて、風船を膨らませていろいろな形を作ることが面白かったんです。大学を卒業しても、ずっとこういう仕事がしたいと思って、地元で風船デコレーションの会社に就職するのが理想だったんですけれど……そういう会社はないし、浜松は離れたくないし、それで姉と一緒に会社を始めました。
 いちばん最初にいただいた依頼は、鈴鹿サーキットのレース会場でスズキさんのブースを飾る仕事。夏だったので、海のイメージでイルカと波をつくりました。
 その時点では将来のビジョンとか、そんな先のことを考えるゆとりはなくて、ただ風船を飾り付けるのが楽しくて、目の前にあるひとつひとつの仕事を夢中でこなしているという感じでした。最初はお店もなくて、会社用の電話を1つ買って、その電話で注文を受けて、イベント会場の飾り付けをしてたんです。そのうちお客様から、お誕生日とかちょっとしたギフトで「風船ないですか」って問い合わせが来るようになって、お店を作りました。
 今思えば、私はラッキーだったと思います。営業しなくても、どこかで仕事をすると、その作品を見てくれた方が「うちのイベントでもやってよ」って感じで、どんどん仕事がつながっていって……。当時はまだ「バルーン・アート」という言葉すら浸透しない時期でしたから、逆に「風船でなにするの?」と興味をもっていただくこともありました。
 いちばん困ったのは、「風船は銀行とか商店街で無料で配られるもの」というイメージがすごく強くて、「お金を出して風船を買う」という感覚がほとんどなかったことです。そういう認識のズレが、最初はちょっと厳しかったですね。
 最近は、ショッピングセンターとか水族館などの飾りつけ装飾が4割くらい、講習会で教える仕事が3割、お店での販売が3割ぐらいという感じで、仕事をしています。毎年、バルーン・アートのコンテストやセミナーの講師として世界各国に行く機会があります。いろんな国で自分の作品を「カワイイ」と言っていただけるのは、本当に嬉しいですね。

こだわりのアイデアがオリジナリティを生む

 風船はアイデア次第で結構いろんなことができるんです。たとえば、最近はあまり珍しくなくなってしまいましたが、風船を二重に重ねて新しい色をつくったり、細長い風船をいっぱい編みこんで立体もつくれます。
 制作現場には、最初からアイデアをかためて臨むこともありますが、だいたいのイメージを決めて、最終的には現場でつくり込むこともあります。現場に行く途中とか現場に着いてから、全然違うアイデアが浮かんでしまって、姉や周囲の人たちを困らせることもありますね(笑)。思い浮かんだら、やっぱりそのアイデアでつくりたくなっちゃいますから。
 こだわりと言うには大げさかもしれませんが、私はクマはやっぱり二等身がカワイイと思うんです。あるお仕事で、人間が中に入る着ぐるみのキャラクターを風船でつくってほしいという依頼があって、でも人間が入ると二頭身は難しい。どうしようかなと考え続けて、現場の前日、2つのアイデアがひらめいたんです。
 1つは「アヒルに乗ったクマ」。下半身をアヒルにして、上半身をクマにする形。もう1つは、着ぐるみに入る人に腕立て伏せの形になってもらい、「背中に魚を背負ったクマ」。この2つをつくりました。二等身にこだわった結果、オリジナルでカワイイキャラクターが生まれました。
 今後は、お誕生日やちょっとしたお祝いに、バルーン・アートを贈る習慣を広めていきたいと思っています。お花を贈るように、風船を贈るっていいと思いませんか?どんな方に贈られるかお話を伺って、例えばパティシエの方にプレゼントするならケーキの形とか、どこかの球団のファンの方ならチームカラーに合わせたものにしてお贈りする。きっと喜んでいただけると思うんです。
 ここ数年は、本当に海外での仕事が増えて、「和」とか「アジア」とかをイメージした作品づくりにも挑戦しています。この仕事を始めたころのような、カワイイものを詰め込むだけという作風からは、随分変わってきたと思いますね。
 もちろんカワイイものも好きなんですが、最近、シックなものもいいなと思うようになって……。自分の年齢に合わせて作風も変えていけたらいいなと思ってます。

取材日:2010.8



静岡県浜松市生まれ 浜松市在住


【 略 歴 】

1998 バルーン・ビジネスをスタート
2000 バルーンアートの世界的なコンペティション「IBACラスベガス」フィギュア部門で優勝
2003 IBACシカゴ大会で優勝
2005 オランダで開催された「The Qualatex event」で優勝
2007 イタリアの国際大会「BACIバルーンアート・コンペティション」で優勝
タイで開かれた「バルーン・アート・ワールド・チャレンジ」で総合優勝

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