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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

5S活動を通じて、社内全体の業務環境改善に貢献。
仕組みを作り上げることで、助け合いが生まれる。

村田敬子(むらた・けいこ)

村田敬子(むらた・けいこ)



藤森工業株式会社 総務課


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藤森工業株式会社

長年の事例提案が認められ5S活動リーダーに

 私たちの会社は、社内風土がとてもオープンなんです。各事業所の環境改善などの試みを、全体会議の場や社内のポータルサイトで公開するシステムが整っており、いいものは全事業所で共有できるようになっています。それで、私も入社当時から身の周りで気づいたことをその都度、改善事例として提案していたんです。色んな発見があり、発信することで全体に広まっていくのが楽しくて。そして、気づいたら全社の女性の中で最も多く提案をした人に贈られる賞を何度もいただけるほどになったんです。多いときは、年間100件くらい提案していましたね。今でも週1件を提出目標にしているんです。
 中でも力を入れているのが、5S活動を通じた事務改善の提案です。弊社では、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5Sに「スピード」を加えた教育を行っています。きっかけは、5年ほど前に外部の専門家の方をお招きし、基本的な5S活動の概念について指導していただいたこと。私が以前から提案活動を行っていたことで、全体のリーダーとして活動するようになったんです。今は新入社員教育を行ったり、他事業所に出向いて指導をしたりしています。いいものはよそでも取り入れ、もっと進んでいるところがあれば「じゃあうちも」となり、どこでもそれを楽しんでいますね。だから、今では当事業所で実践していることは、他のどの事業所でも行われていると思います。提案したことを社員に広め、職場改善に役立てていくことが私の役目だと思っています。

「見える化」することで業務効率アップ


 参考図書を読み漁ったりして5S活動について勉強していた頃、5Sとはただ職場をきれいにするだけでなく、総務や経理部門での業務改善にも役立つことに気付きました。例えば、デスクの引き出しの中。ペンが何本も入っていたりと事務用品であふれているのに、そのときに必要なものは入っていなかったりしますよね。必要なものを探す時間も、積み重なれば人件費や経費の無駄になります。そういうことを一つでも減らせるよう、5Sの概念に則った「見える化」を徹底することにしたんです。様々な状況を「見える」状態にし、問題を顕在化させることで解決を図ることですね。そのために、引き出しであれば、まずは中身を取り出してみます。そして本当に使うものだけを戻すんです。その際に置き場所も固定すれば、使い終わったら元の場所に戻しますよね。所長の引き出しには、赤黒ボールペン1本ずつ、補充用インク、定規、鉛筆1本くらいしか入っていないんです。それを手作りの枠にはめ込んであり、他の場所に置きたくてもおけないんです(笑)他にも、コピー用紙のストックに「ここまできたら発注してください」と書いたカードを挟むことでストック切れを防いだり。ホワイトボード用マジックも、インクがなくなると捨てられてしまうことが多かったので、補充液がある場所を記したシールを貼ったら改善されたんですよ。後回しにされがちなことでも、表示することで意識が浸透し、誰でもその場で対応できるようになるんです。
 その他、全員のデスクにその人がその日やることを表示するボードを設置したり、1ヵ月の予定表を2ヵ月に増やしたところ、業務効率が上がりました。お互いの業務を把握したり、細かなスケジューリングをすることで進捗状況が確認でき、ゴールに向かって今何をすべきかが見えるようになったんです。弊社では、これらの活動によって、5Sの「しつけ」に繋がっていると思います。
 誰かが休んだときに、仕事を滞留させないことも重要です。書類を休んでいる人のデスクに置いておくだけでは、いつ確認してもらえるか分らないし、なくなってしまうこともあります。そうならないよう、それぞれの業務に担当を2人置き、提出する時間帯もあらかじめ決めることで、必ず誰かが対応できるようにしています。届け出用紙別に置き場所を設置することも効果的ですね。これらの仕組みを一から作り上げ、今では伝票などがたまってしまうこともなくなりました。

5Sは浸透させることで自分も楽になる

 細かなことを一つずつ社内に浸透させていくには、難しい面もありました。仕事とは個人に従属している部分が多く、オープンにして誰でもできる状態にするのは決して簡単なことではありません。そのため、毎週1回会議を行っているんです。電話や来客対応などもできる場所にミーティングコーナーを設け、必ず全員参加できるようにしています。その場で1週間実践したことを確認し、うまくいかない点があれば改善方法を考える。そして翌週また確認する、という作業です。そうすれば提案したことが定着するので、これはやってよかったですね。
 私には二人の子どもがいて、両親の介護をしていた時期もあるんです。これまで仕事を続けてこれたのは、家族のサポートが本当に大きいです。この活動をしていると、家の中も整然としているのではと思われがちですが、実際はそんなことはないんですよ。ですが、食器棚やタンスを整理するときに形別、色別にすることなどはあり、そんな主婦の目線が業務に生かされることはありますね。とはいえ、職場で常に神経を張りめぐらせているわけではありません。そんなことをしていたら、本来の業務に集中できないですから。むしろ逆なんですよね。私は楽をしたいと思うんです。家庭でも、タンスの中が汚いと引き出しが閉まらなかったり、探し物をしたりしなければならないですからね。それがいやなんです。仕組みを作るまでは大変でも、でき上がれば後が本当に楽ですよ。自分の負担も軽くなりますし、誰かに助けてもらうこともできる。本当はずるいんです(笑)。あとは、捨てるのはもったいないから無駄なものは買わない。捨てるにはとっても勇気が必要、と。そういう考えがいつもあるんです。

取材日:2011.1



静岡県掛川市生まれ 掛川市在住


【 略 歴 】

1976 藤森工業株式会社 入社 技術課配属
1983 結婚
1984 総務課へ転属
長女出産
1986 長男出産 現在まで同部署にて勤務

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