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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

多様な「人財」で新しい価値を提供できる企業をめざし、
ダイバーシティ推進の先頭に立つ。

佐藤真琴(さとう・まこと)

佐藤真琴(さとう・まこと)


㈶生涯学習開発財団認定コーチ
ジヤトコ株式会社 人事部主担


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ジヤトコ株式会社

人事部に異動して管理職に


 1985年、当時の日本自動変速機㈱(現・ジヤトコ)に入社しました。本来の仕事をしながらお茶出し・コピー・メール配布は、女性だけの仕事という状況で、まだ女性の能力をビジネスに生かそうという感覚はなかったように思います。男女雇用機会均等法が出来てからは、徐々に会社の意識も変わってきました。ここ数年は、世の中全体としてダイバーシティが叫ばれていることもあり、その影響が会社にも出始めていました。
 2005年に課長補佐に昇格した当時、女性社員の中では「草分け的」存在でした。でも、その上のポジションである管理職を見ていると責任ばかりが重そうで、管理職になろうという気持ちは正直あまりありませんでした。好きな仕事が出来ればいい、ポジションはあがらなくてもいいという意に反して、2007年に人事部に異動と同時に管理職に昇格。これが、私の人生の転機になりました。
 人事部での新しい役割は、「人財」育成とダイバーシティ推進です。この時初めてダイバーシティという言葉に出合いました。「ダイバーシティって何だろう?」という疑問の答えは、性別や国籍、学歴などいろいろな属性にとらわれず、多様な人財を組織に受け入れることにより、新しい価値を創造していくことだと、講演会や先行する他企業からの情報収集などを通じて、理解できるようになりました。ダイバーシティ推進の第一歩として、日本では、まず女性の活躍推進に取り組む企業が多いのですが、解決すべき課題の1つとして、「身近に女性のロールモデルがいない」ということがあり、ならば、私がロールモデルとして女性社員の力になれるかもしれないと思うようになりました。常に後輩から目標である人物とされる人物でありたいとうようになったのは、人事部にきてからです。
 ときどき、社長が職場に来て、「常に自分を磨き、自分の価値を高めなさい」と言われるのですが、「遅きに失することはない。気がついたときがそのときだ」と言う社長の言葉は、これまで自分磨きをしてこなかった私の背中を押してくれます。ダイバーシティの必要性についても、社長自らがその重要性を社員に発信してくださるので、とても追い風になっています。

ダイバーシティの啓発とコーチング

 ダイバーシティ推進の取り組みが、本格的に動き出したのは2008年ごろ。社員の働き方が多様化する中で、ワークライフバランスを実現するための制度として、法律で定められた期間以上に取得できる育児休職制度や、時間短縮勤務制度などが年々整備されただけではなく、今では、「女性管理職比率」「新卒採用における女性の比率」「外国人社員数」などの具体的な目標値を設定し、経営戦略の1つとしてダイバーシティ推進に取り組んでいます。こうした活動が認められて、2010年に「静岡県男女共同参画社会づくり活動に関する知事褒賞」を受賞できました。
 制度の周知やダイバーシティ推進に関する啓発のため、社内報や社内ブログなどでメッセージや話題を発信するだけではなく、フォーラムを開催したり、また、各部長には、女性社員の育成計画を出していただいて、進捗状況や課題について私が聞いて回っています。そうした細かな努力が功を奏したのか、私が管理職に昇格した後は、毎年女性管理職が増え、現在は8人になりました。
 実は、私自身昇格した当時は、「私が失敗したら二度と女性管理職者が登用されないかもしれない」というプレッシャーから、恐くて会社に行けないこともありました。
 それを乗り越えられたのは、メンターからのサポート、そしてコーチングとの出合いです。コーチングは人とのコミュニケーション力がアップするだけではなく、部下の育成にも役立ちそうと思い立ち、自己投資して認定コーチの資格を取りましたが、自分自身のメンタル強化にも役立っています。2008年から社内でのコーチング研修のトレーナーも務めてます。

女性をエンパワーメントしたい!

 ダイバーシティ推進はまだまだ当社にとって新しい活動です。いろいろな場所でダイバーシティを意識してもらえるような発言を意図的にしているので、口うるさい女と思われているかもしれませんが、それも私の役目の1つと思っています。今までの製造業は男性中心の企業文化でしたから、マイノリティーである女性がマジョリティーである男性に向かって意見を言うのは、とても勇気のいること。私が自分の意見を主張する姿を見て、「私も言ってみようかな」と思ってくれる女性が現れたらいいと思います。私もやってみようかな、私も出来るかなと迷っている女性の背中を押してあげたいのです。
 女性社員をエンパワーメントすることは、今の私にとって本当に大きな喜びです。より広い領域の仕事、責任ある仕事に躊躇している女性のチャレンジを、後押ししていきたい。管理職になることは大変なことばかりではありません。責任あるポジションだからこそ経験できる喜びや感動もあるのです。そのことを女性の皆さんに伝えていきたい。また、社内全体にダイバーシティマインドを醸成していくことで、ジェンダーはもちろん、国籍・人種などの多様化にまで活動のスコープを広げていきたい。最後は、ダイバーシティという言葉を使わなくても、多様な「人財」が職場にいることが当たり前の企業、意思決定の場に多様な「人財」が自然にそろっている企業へと進化させていきたいです。
 ダイバーシティ推進は新しい仕事でやりがいがあります。まずは、女性が元気になって活躍してほしい。最近、「真琴さんみたいになりたい」と言われることがあり、すごくうれしいです。これからも、そういう人物であり続けたいと思います。

取材日:2010.12



静岡県富士市生まれ 富士市在住


【 略 歴 】

     
1985 日本自動変速機㈱(現・ジヤトコ㈱)入社
2007 課長職に昇進、人事部に異動。ダイバーシティに出合う
コーチングの認定コーチの資格取得
2010 ジヤトコ㈱が「静岡県男女共同参画社会づくり活動に関する知事褒賞」受賞

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