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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

フェンシングを通じて初めての海外遠征を経験。
勝つことも負けることも知って、より成長できた。

筒井孝朱(つつい・たかみ)

筒井孝朱(つつい・たかみ)



県立沼津東高等学校 フェンシング部


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静岡県立沼津東高等学校

「かっこいいな」と気軽に始めたフェンシング


 フェンシングを始めたきっかけは単純なんです。中学生のときはソフトボール部に所属していたのですが、進学先の高校にはなくて。いろいろと迷ったのですが、どうせなら珍しいスポーツをしたいなと思ってフェンシング部の見学に行きました。そのとき、部活内の雰囲気がそれまで見た中で一番明るくて楽しそうだと感じたんです。それに、剣を使うのもかっこいいな、と。それで決めました。
 フェンシングはサッカーや野球などのスポーツに比べて競技人口も少ないですし、高校に入学してから始める人がほとんどなんです。一般の方でルールを知っている人も多くはないと思いますし。簡単に説明すると、フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3つの種目があるんです。フルーレが最も基本的な種目で、大抵の人はここからスタートします。その後、フルーレに加えて、各自の希望に応じてエペかサーブルを選ぶ人が部内では多いですね。各種目の違いは、フルーレは有効面が狭く、「突き」を用います。エペは、頭から爪先のどこを突いても有効となり、「突き」だけが可能です。サーブルは、突くことも切ることもできますが、「切り」が主体。有効面は頭と腕を含む上半身となります。その他、使用する剣や、有効となる「突き」の強さなどが違います。
 私がその中から選んだのはサーブルです。「切り」がメインとなるので、動きが激しくスピードも求められるんです。私は体を動かすことが好きで、夢中になるとどんどん突っ込んでいくタイプなので合うかな、と。男子中心の種目なのですが迷いはなかったです。

初めての国際試合は敗戦が貴重な経験に


 女子が少ない種目ということもあって、練習も同級生の男子部員と一緒にすることが多いですね。男子は動きが早く、攻撃の届く距離もより長いので、女子同士で練習している人より鍛えられているのではと思います。大学生や社会人のOBの方も、さまざまな人たちが毎週来てくださるので、強い男性と練習する機会にも恵まれていますね。それらが体力や筋力強化につながっているので、本当に感謝しています。入部してから、インターハイや新人戦ですぐに結果が出せたのも周りの人たちのおかげだと思っています。
 県大会で優勝できたことについては、うれしかったのですが、それで自分は強いんだとはまったく思いませんでした。参加人数が少なかったこともありますし、他県の選手はもっと強いと思っていました。だから、その後の東京都選手権に向けても練習を積み、自信をつけて臨んだんです。優勝するぞと意気込んで。だけど、負けてしまったんです。そのときはやっぱりまだまだだと感じましたね。実力が足りないなと。それからは、練習また練習です。本当に自分は負けず嫌いなんです。ですが、その練習のおかげで、昨年10月に行われた「サーブルチャレンジカップ」で優勝し、初めての海外遠征となるジュニア世界大会へ出場することができました。
 国際試合は、昨年の11月と12月に、ポーランドとドイツで行われました。大学生を中心に各国の選手が集まったのですが、どの人も強かった。本当に強かったです。2ヵ国で計12試合を戦いましたが、結局1勝しかできませんでした。ふがいないなと思いましたが、「海外でボコボコにやられたんだから、もっと頑張らなきゃ」とますますやる気になりましたし、すごくいい経験になりました。先日行われた「ジュニアオリンピックカップ」でも優勝することができ、新たに海外へ挑むチャンスをいただいたので、次こそは、と思っています。

勉強と両立しつつ全力で練習に取り組む


 現在は、柔軟、体操、フットワークから始め、その後1対1で技の確認をし、最後に「ファイティング」という試合形式の練習をするという流れでメニューを組み立てています。部長を務めているので、先生方やコーチ、他のメンバーと話し合いつつ、方針を決めているんです。総当たり戦に備え、何試合戦っても同じ力が出せるように、体力強化も意識しています。平日に家に帰るのは夜の9時頃ですね。土日にも練習があります。勉強と両立するために、塾の自習室で2、3時間勉強してから帰ることもありますし、大会の移動中、バスや電車の中で勉強することもあります。ですが、勉強時間の確保には苦労していますね。今年は3年生になるので受験もあるんです。小さい頃からの夢を叶えるために医学部へ進学したいと考えているので、今後は勉強中心の生活になると思います。ですが、今はまだフェンシング優先。フェンシングが本当に楽しいんです。今年も海外遠征があるので、まずはそこを目標に日々練習していきます。最後のインターハイも頑張りたいですし、まだまだ精進しなければと思っています。両親も「後悔しないように」と送り出してくれるので本当にありがたいですね。
 フェンシングのおかげで、学生生活は本当に充実しています。仲間と毎日楽しく部活動ができていますし、日本各地や海外に行くこともできます。遠征先でたくさんの友達ができたのもうれしかったことの一つ。高校卒業後にフェンシングから離れることになっても、これまでの経験は必ず生かせると思っていますね。私には負けん気があって、それがあればスポーツだけでなく、社会に出て仕事をするときにも頑張れると思うんです。医者は体力が必要だから、その点でも心配ないかな、と。今は、目の前の目標に向かって全力で進んでいきたいと思っています。

取材日:2011.1



静岡県御殿場市生まれ 御殿場市在住


【 略 歴 】

     
2009 県立沼津東高等学校 理数科入学
フェンシング部入部
2010 インターハイ県大会準優勝(サーブル)
新人戦 県大会優勝(サーブル)
全国サーブルチャレンジカップ大会 優勝
東京都カデフェンシング個人選手権大会 カデ部門3位
ポーランド・ドイツ遠征
2010ジュニア世界大会出場
2011 JOCジュニア・オリンピック・カップ・フェンシング大会 優勝
2011世界ジュニア・カデ・フェンシング選手権大会出場予定

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