夫がリフォームで起業することになり、何か手伝えることは？と、パソコンで検索、「整理収納アドバイザー」の資格と出合いました。この資格ができたばかりのころで、私は2期生、静岡県初の整理収納アドバイザーとなりました。
　整理整頓と整理収納は一緒のことだと思われていますが、実は違います。家庭科で習う整理整頓は、きれいにその場を整えることをいいます。整理収納は、必要なモノを取り出しやすくおさめることです。不必要になってしまったモノに気づかず、あふれていくモノを整理（分ける）せずに、収納しようとすることは、単なるモノの移動でしかありません。今、モノが多い時代だからこそ整理力や収納力がとても大事だと思っています。講座に参加した人たちから、「全然違うことをしていた」「目からうろこ」「この方法なら私もできる」と言ってもらい、うれしかったです。
　整理収納の第一段階は、必要・不必要を分けることです。まず「目的」があって、これはこういうことのためにここにある、という理由がほしい。何のためにここにあるのか分からない、という状態は整理収納ではありません。そのような場合、どこにあったのか忘れてしまい、探しモノをすることになります。後始末の概念ではなく、もっと前向きにモノを生かすための行動です。まずは、物の見直しから始めたいですね。
　それに、モノがあることで掃除がしづらい、埃も溜まりやすい、湿度の問題も1年を通してありますのでカビも気になります。そのような流れは、家も自分にとっても悪循環です。
　整理収納には、さまざまな効果があります。また、実践すると目に見えて成果が出やすいのもいいところです。「整理収納を始めたら、こんないいことがありました」などの報告が多く届いたことから、｢運気アップの整理収納講座」や商売繁盛を目的にした「店舗に活用する整理収納術」へと展開しています。効果は、精神的・経済的・時間的・安心安全効果にとどまらず、それを続けることで、人それぞれに思いがけない効果が現れています。この仕事は整理収納だけにとどまらず、多分野に活用され、新しい職業になっていくのではないかと思っています。

　整理収納が大好きです。子供のころは「ちゃんとしまいなさい」と、きれい好きだった母によく言われていましたが、中学生のころから部屋の模様替えが楽しくなり、住環境を意識するようになりました。特に結婚後は、日々の暮らしを楽しむことが自分は好きなのだと気づきました。夫の以前の仕事は転勤があり、いつでも引っ越せるように家の中のモノを整理していました。これは後で気づいたのですが、転勤が楽になるための整理収納術でした。
　現在の主な仕事は、講師業、コンサルティングと実際の収納サービスなど。また最近では、店舗の整理収納術も、商売繁盛の目的のためにお店に無理なく今できることからをコンセプトに、お手伝いしています。ムリムダの滞りを省き、お店の魅力を広く伝えるようにし、お客様目線を大切に、お店にかかわるすべての人にとって快適な環境をめざしていきます。
　講師を始めて1年くらいは、落ち込むことばかりでした。整理収納を伝える仕事は大好きでしたが、どうしてもっと分かりやすく伝えられないのだろうか。苦手な人にも得意な人にも、やる気がアップするような講座にするには…と、考えてばかり。ある日、参加者の女性の質問に迷うことなくスラッと答えられたときがありました。それからでしょうか、講座を自分自身が楽しめるようになったのは。整理収納が嫌いな人・家族に言われて講座に参加したという人も、多くいらっしゃいましたね。
　整理収納が苦手なこと、上手に出来ないことに罪悪感を感じがちです。特に女性の場合、家事が出来て当たり前と思われやすくて、整理収納が苦手なことで自分に自信がもてなくなってしまいます。整理収納が苦手な人は、自分なりの居心地のよさに向かって、まず基本から試してほしいと思います。いやにならないように短時間で、場所を区切って、がんばり過ぎないことです。最初は、「自分も出来る！」の達成感を味わうことがポイントです。
　アドバイザーになってたくさんの人と出会う中で、それぞれの個性・その人らしさに触れる瞬間を、何より楽しいと感じています。お客様と一緒に動く実践作業でも、住まいやモノはその人そのものであり、その人の歴史や大事にしているモノを共有出来るのはアドバイザーになれたからこそ。心震える感動をいつも味わっています。お客様からは、仕事や人生について教えてもらうことも多く、本当にありがたい時間を過ごさせてもらっています。これからも、仕事の方向性など教わっていきたいです。
　「人生ワクワクアドバイザー」と自称しています。ワクワクした魅力的な人との出会いからたくさんの刺激を受けてきました。私もそんなみなさんを見習って、ワクワクした方向へと楽しく仕事をするよう心がけてきました。自分のワクワクって何？どんなときに自分はワクワクするのだろう？と、感性を鈍らせないためにも、身の回りの整理収納はとても大事だと思います。モノや環境は自分の選択です。モノではなく自分を主役に、自分の感性と共にワクワクして生きていけたらいいな、と思っています。

　今年、中学校の家庭科の授業で講師をしたり、養護の先生方と「保健室を整理収納で快適にする」の目標を掲げて、実践作業にもかかわらせていただきました。だれもが整理収納の基本方法を知っていれば、すぐにでも活用できますし、ポイントをおさえることで遠回りをしなくてもすみます。子供から大人まですべての人に広く知って活用してもらえたら、そう思っています。私にできることを発信していきたいですね。
　きれいになることが最終ゴールではありません。理想をめざして、自分の大切な時間を好きなことやワクワクすることに使ってほしいと、心から応援しています。
　だれかの真似ではなく、自分らしくやっていけばいい。自分流を見つけ出していけばいい。100点満点の正解はないと思っています。
「モノも心もすっきりと」シンプルに自分らしく過ごし、片付けのプロとして快適で豊かな人生を提案していきたいです。