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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

アメリカで見た、女性たちの活躍。
誰もが一人の人間として認められる世の中にしたい。

大川須津子(おおかわ・すずこ)

大川須津子(おおかわ・すずこ)



SWOSの会 会長



アメリカの女性は輝いていた

 SWOSの会の前身は、静岡県女性の海外研修事業に参加した静岡県海外研修女性の会です。30年以上前、当時の山本知事と静岡新聞大石社長がヨーロッパの視察を通して「地域や国を作り上げるために女性のエンパワーメントを図って行かなければならない」と女性の海外研修事業を計画したと聞いています。参加者は帰国後それぞれ地域で講演や勉強会をし、海外で学んだことを地域にアウトプットする。そういう女性を育成するのが目的でした。この事業は、今はもうなくなったのですが、参加した女性たちは現在も今さまざまな分野で活躍しているので、この事業は成功だったと言えると私は思います。
 私がこの研修に参加したいと思った理由は、戦後、敗戦国である日本に物資や食料を提供したアメリカという国、負けた国に対してそういうことをしようという国に行って、そこで暮らす人々がどんなことを考えているかを知りたかったから。民間人もお金を集めてボランティアのようなことをしているという話を聞いて、そういうことがなぜできるのか、そのアメリカに行ってみたい、と思ったのです。
 海外研修に行ったことで、自分の生き方が変わりましたね。この研修で私が出会ったアメリカの女性は一人の人間、社会の一員として活躍しているように感じました。しかも子供を産み育てて、政治家や会社社長、大学教授をしている人がたくさんいました。
 出会った人々が一人の社会人として責任を持って生きている姿に衝撃を受けました。その経験がなかったら、私の人生は今とは違っていたと思います。

介護経験を経て町議会議員へ

 1997年に長泉町の町議会議員選挙に出馬し、議員になりました。これもアメリカで州や国を動かす女性たちの活躍を目の当たりにしたことが大きく影響しています。
 特に強く感じていたのが介護の問題。私自身夫の親の介護を経験し、子育ても経験する中で、介護に携わる女性の苦労や、介護疲れで亡くなる知人を見てきました。介護は嫁がして当然という風潮は、本当にそれでいいのか。そんな疑問を抱いていたとき、介護保険が始まるという話を聞いたのです。今しかない、ここで議員になって、介護も社会的に…嫁が一人で負担するのではなく、家族みんなで、あるいは地域で支えられる社会にしたい。そのためには介護の方法も変わって行かなければならない、と。それでどうしても議員になりたかったのです。
 でも21人の議員のうち、女性は2人だけでしたので、議員として100%働いても足りないんですよ。男性議員の塊が大きすぎて、もっとやらないと見えてこないんです。毎日それは忙しかった。女性だからか、教育や福祉、障害のある子供たちの母親からの相談が多かったですね。相談を受けたら、その相談事がたとえ今できなくても、なぜできないかを返事をすることを心がけていました。必要だから相談しているわけですから、なるべく早く。先方はこちらからの返事を待っていると思ったからです。
 在任中には、例えば障害のある子供たちが保護者と子供本人、教育委員会、担当医や授産施設の方など何人かでミーティングをし、その子にとって一番いい方法を見つけてくれるシステムができました。他にも役場の女性職員が結婚後も旧姓で仕事を続けられるような働きかけもしましたね。自分が築いてきたキャリアなのに、結婚したからといって名前を変えるのはおかしいのでは、と。県がそういう動きになったからですが、それはきっとそう思っていた女性が多かったからでしょうね。

理想は誰もが尊重される社会

 SWOSの会では男女共同参画の啓発に、毎年冊子を出しているのですが、今年は各市町の子育て支援を調べました。こういうデータを使いながら、男性にとっても女性にとっても、障害があろうがなかろうが、その人のかけがえのない人生、一人ひとりが大事にされる社会を実現することの大切さ、それが男女共同参画だということを伝えたいですね。というのも、大学生など若い人たちにはまだ浸透していないと感じるからです。
 これから年金制度がどのように変わるかわからない状況にあり、そのうえ少子高齢社会では、一人ひとりが経済的にも生活者としても自立していかなければ困ると思うのです。社会の一員として参画し、税金も納めていく人が増えないと日本の社会そのものが困っていくのではないでしょうか。子育ての達成感ももちろんありますが、それだけではない達成感もあると思うのです。
 男性が料理をしたり、女性がトラックを運転したり、そういうことも大事だけど、それが目標ではなく、その人の人権そのものを尊重していくことが男女共同参画だと思うのです。障害のある人だって社会の一員として自立したいし働いて税金を納めたいと思っている人たちもたくさんいます。
 一人ひとりが大切にされ、互いに尊重しあえる社会になってほしいと思います。

取材日:2011.2



静岡県三島市出身 駿東郡長泉町在住


【 略 歴 】

                       
1967 大学卒業、結婚
1980 夫、会社を始める。事務を担当
1983 父母亡くなる
1990 夫の父亡くなる
1993 ながいずみセミナー委員長
1994 静岡県女性の海外研修に参加
1997 ながいずみ女性の会会長。読み語り「ぱんぷきん」の活動
長泉町議会議員(~2005)
2007~2008 「SWOSの会」副会長
長泉町本宿区区長
2009~ 「SWOSの会」会長
あざれあ交流会議副代表
長泉町南部地域安全会議会長

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