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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

留学、出産、育児、ボランティア……。
自らの経験が夢をかなえたい女性たちの糧になる。

太田奈月(おおた・なつき)

太田奈月(おおた・なつき)



アクトインターナショナルスクール 校長


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アクトインターナショナルスクール

内面を重視するホリスティックなアプローチ

 私たちがいつも生徒さんに言っているのは、「肌に表れているトラブルだけでなく、その背後に隠れている内面的な問題に目を向けましょう」ということです。
 どんなお客様に対しても必ず、肌や身体のカウンセリングをしてから施術する、いわゆるホリスティック的アプローチが、当校の特徴の1つです。
 そのお客様を本当にケアしようと思ったら、ある程度、内面的な部分に踏み込む必要があります。
 しかし日本ではまだ、そういうアプローチが失礼であるかのような、ある一線以上は踏み込まない暗黙のルールみたいなのがありますね。そこを敢えて壊す方針をとっているのは、当校の卒業生の多くが個人のサロンの経営を目指しているからです。
 私たちの大きなミッションは、大手サロンに何人送り込んだかということでなく、個人の成功者を出していく、個人のサロンを応援するということ。なので「思い切ってお客様1人ひとりに関わる覚悟をもちましょう」「トラブルは根本からきちんと治しましょう」ということを言っています。
 カウンセリングのクラスでは、お客様の内面のかなり奥深く踏み込んでいくトレーニングをします。どこのサロンでも最近はカウンセリングが珍しくなくなっていますが、形式的で単にマニュアルに沿った質問に終始するケースが多いように思います。
 どういう目的で何をどう聞いていくべきか、細かく指導する私たちのカウンセリング講座は、当校の講座のなかでもいちばん人気のクラスです。

イギリスでの800人への施術がくれた気付き

 こういうホリスティックな手法を、私はアロマテラピーの本場イギリスで学びました。イギリスではお客様の扱い方にはじまり実際の施術に至るまで、非常にメンタル部分を大切にします。
 実はイギリスに行く前、カナダのトロントで勉強していました。でも「肌のトラブルはメイクできれいに隠すもの」という考え方が主流のような気がして、どうも納得がいかなかったんですね。
 そんなとき、イギリスにはアロマセラピーというのがあって、心の問題をとても大事にしているという話を聞いて興味をもちました。それがイギリスに留学したきっかけです。
 私が学んだイギリスの学校はちょっと変わっていて、ある程度の期間、教室で学んだら、インターンのような形でお客様を実際に施術するんです。学生であっても料金はもちろん、チップまでいただけるんです。インターンを経て、卒業後、規定の数百時間の実務を積まないと資格がもらえないんですね。
 私たちの学校でも、このシステムを参考に、卒業前に1000円でお客様をお迎えする「インターンエステ1000」という実習を取り入れています。技術だけではなく、お客様に対する立ち居振る舞い、接客も体験してもらっています。
 イギリスにいた期間に、約800人の方を施術するチャンスに恵まれました。そこで気付いたのは、自分で言うのもなんですけれど、日本人は技術的にレベルが高いということ。私も結構人気だったんですよ(笑)。よく言われるように、日本人はきめ細やかでタッチがやさしくて、指圧やツボに対する感覚もありますから、「日本人は全然違う」とお客様の間で評判になりました。
 私の英語がペラペラでなかったことも、1つの重要な気付きを与えてくれました。お客様にはいろんな人種の方がいたんですね。アジア系、ヨーロッパ系、アフリカ系、イスラム系……人種も宗教も文化も、体格や体質も多種多様でしたから、とりあえずお客様を理解しようと一生懸命でした。
 日本人どうしなら、何も聞かなくてもある程度わかるというか、わかっているつもりになっている部分がありますけれど、言葉も流暢でないし、本当にわからなかったので何とか理解しようと努力しました。結果的にそういうアプローチが、現在の私たちの指導方針のベースにもなってます。言語が通じない国での学びや経験が、相手を理解することの重要性に気付かさせてくれたのかもしれません。
 もう1つ、日本人の特性がわかったという収穫もありました。それまで「日本人の肌」について考えたこともなかったのですが、800人の方の肌に接するうちに、おのずと日本人の肌の特徴がわかってきました。肌だけでなく、もっている悩みも違うんです。例えば、肩こりとかむくみというのは、日本人に特徴的なトラブルなんですね。要するに英語にしようとすると的確な表現がない。
 肩こりやむくみは日本人に特徴的なもので、そうしたトラブルを海外で一生懸命伝えようとすると、まるで深刻な病気であるかのような捉え方をされてしまうこともありました。

出産と子育てが仕事の可能性を広げてくれた

 アロマが出産を楽にするということは、知識としては知っていましたし、お客様にも伝えていましたが、自分自身の身体での経験がなく実感がありませんでした。それで自分が妊娠したのを機に、自分の身体を実験台にしたんです。
 ジャスミンティーを飲み、ジャスミンのマッサージオイルでお腹と腰のツボを刺激するということを、予定日の1週間前から実践しました。ジャスミンの香りは、子宮の収縮を促す一方、子宮をもとに戻すと言われているので、とにかく自分を「ジャスミン漬け」にしてみたんです。
 この方法で2人産んでいるのですが、2人ともぴったり予定日どおりです。産まれたときは、「やっぱりな」と、確信に近い気持ちがありましたから(笑)。驚いたのは、病院で「太田さんは入院している人の中で子宮の戻りがいちばん早い」と言われたことです。
 産後は後陣痛もありませんでした。この方法をいろんな人に伝授したところ、今のところほぼ100%うまくいっています。
 子供が生まれていちばん変わったのは食事ですね。正直、子供が生まれる前は、忙しいことを理由にひどい食生活をしていました。でも子供が生まれるとそういうわけにいきませんから、食事の時間に合わせて仕事を切り上げて、ちゃんと食事するようにしました。
 そうしたら本当に身体の調子はいいし、疲れにくくなったし、イライラしなくなったし……。やっぱりアロマだけじゃなく、食べ物が大事なんだなあということを実感しました。
 私たちの食育講座は3カ月コースなのですが、生徒さんたちも受講を始めて3カ月後にはびっくりするほど変わるんですね。肌の調子、身体の調子――具体的に言うと尿や便の状態、睡眠の質、イライラの頻度、生理時のトラブルなど。家庭をもっている方は、家族みんなの健康につながっていきます。
 身体にいい食べ物について書かれた本はたくさんあります。でも生徒さんのほとんどは、自力で実践できなくて当校に来るわけです。ですから、まず考え方から変えていただくために、前半の授業ではまったく食べ物の話が出てこないというのが、当校の特徴です。
 「何を食べなさい」ではなく、そもそも人は食べなきゃいけないのか、なぜ食べ物を変えなきゃいけないのか――そういう根本的なところをまず伝えます。
 食べ物が変わって自分が変わったことで、これまで目を背けていた部分に目を向けられるようになったという人もいました。本当に、食は人生を変えるんです。

静岡から世界へ緑茶のアロマを発信したい


 イギリスから帰国して、目覚めたことの1つにボランティアがあります。学校を設立した直後から授業の一環として、生徒さんたちと一緒に老人ホームや介護施設でアロママッサージのボランティアをさせていただいてきました。
 ボランティアがきっかけとなって、現在、約50名の卒業生が医療や介護の現場でプロとして活躍しているんです。全国的に見ても、これだけたくさんのセラピストを医療現場に送り込んでいる学校は、他にないと思いますね。この4年間で2人から50人に増えたことからも、医療・介護分野でのアロマテラピーに対する潜在的なニーズは高いと見ています。
 これまでに、のべ600名の利用者にアンケートを取らせていただきましたが、その結果を見ると「よく眠れるようになった気がする」「気持ちがいい」といった反響が多いです。
 タッチングやマッサージといったハンド効果そのものより、忙しい看護師さんたちに代わって、セラピストたちが話し相手や聞き役になってくれるという側面も、癒しの効果につながっているのでしょうね。
 患者さんや高齢者のQOL(生活の質)向上を考えるうえで、アロマに対するニーズは、今後ますます高まっていくのではないでしょうか。
 最近、私たちがアロマの新しい可能性として注目しているのが緑茶です。実は緑茶の香りには2種類があって、1つはお茶をいれたときの香り、もう1つは5月ごろの茶畑の香り。後者のアロマには、森林浴と同じフィトンチットという殺菌作用のある成分が含まれていているのですが、残念ながらお茶を蒸す過程でほとんど抜けてしまうんです。
 フィトンチットの研究は、森林浴が盛んなドイツで進んでいまして、一説によると、現代人のストレス緩和にも効果があるのだそうです。フィトンチットをたくさん含んだ緑茶アロマが抽出できれば、医療や介護の現場、スパやサウナなど、活用できる場はたくさんあると思います。
 実は今年、県の助成をいただいて、緑茶のアロマオイルの研究開発を進めています。お茶どころ静岡らしい緑茶のアロマオイルが誕生したら、是非イギリスにもって行きたいですね。これまではイギリスから日本へアロマテラピーの文化やノウハウをもち帰り広めてきたわけですが、今度は日本で開発したものをイギリスで活用したい――それが目下の私の夢です。

取材日:2010.8



静岡県生まれ 静岡市在住


【 略 歴 】

1996 ケンブリッジ・スクール・オブ・ビューティー・セラピー(イギリス)に留学
1998 CIDESCO 国際エステティシャン、IFA国際アロマセラピストの資格を取得
2000 静岡市にアクトインターナショナルを設立
2005 妊娠と出産を経験したことで、妊娠中や産後ケアのためのアロマテラピーを確立
2006 食育およびアロマ空間の資格認定講座を開講
2010 県内初のIFA国際アロマテラピスト連盟認定校に

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