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本サイトは、平成22年・23年の作成当時の内容です。

女性特有のがん患者に情報や話し合いの場を提供。
よりよいライフデザインを応援する。

河村裕美(かわむら・ひろみ)

河村裕美(かわむら・ひろみ)



NPO法人女性特有のガンのサポートグループ
オレンジティ 理事長
一般社団法人ティール&ホワイトリボン 理事長


- WEBサイト -

オレンジティ
ティール&ホワイトリボン

結婚1週間後にがんの告知を受ける

 1999年7月4日に結婚し、その1週間後にたまたま行った病院で、子宮頸がんの告知を受けました。私の人生に、結婚したばかりの夫をつきあわせてはいけないと思い、離婚を決意しましたが、夫の「一緒に生きていこう」という言葉で、2人で乗り越えていこうと決めました。8月4日に手術を受け、9月4日に退院するまで劇的な2カ月で、新婚気分はありませんでした。
 私は、子宮頸がんIb期の腺がんで、子宮・卵巣・リンパ節を摘出する広汎子宮全摘手術を受けました。その手術によりリンパ浮腫、排尿・排便障害、卵巣欠落症候群という更年期障害と同様の症状、性交障害など、一生つきあっていかなければいけない後遺症が残りました。
 東京に婦人科がんの患者会ができたと、夫が新聞の切り抜きを持ってきてくれて、参加しました。そのときの参加者は10人くらいでしたが、激しい後遺症のことなど体験談を話せる場があるというだけで気持ちが軽くなりました。静岡でも、同じ思いをしている人がいるのではないかと思い呼びかけたところ、多くの人が集まり、そこで設立したのが「オレンジティ」です。
 オレンジティは、女性特有のがん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、乳がん)の患者さんのサポートをしています。後遺症や性の問題は、親や友人にも話すことが出来ません。そこで、「後遺症、どうしている?」「こうしたらうまくいった」という、前向きに今の状況を分かち合うおしゃべりルームや自分の病気をよく知るための勉強会などの活動をしています。おしゃべりルームでは、辛かった話も出ますが、これからどうやって上手に生きて行こうかというところに話題は集中します。
 会の理念は「オレンジティは、あなたの描くライフデザインを応援します」。つまり、本人の中にしか自分の人生を良くしていくための答えはありません。後遺症は、いつかよくなるわけではありません。一生涯つきあっていかなければならないという自分の状況を認めて、折り合いをつけてよりよく生きていくことに気づいてもらうのが、この会の存在意義です。それが、私たちサポートグループの役割だと思っています。

「悲しい思いをしないためにも検診を」と啓発

 オレンジティのおしゃべりルームは、東部地域が一番初めに出来て、西部・中部、その後東京と、今4カ所あります。
 月に1回行う「おしゃべりルーム」は、体験者同士が体験を分かち合い、くつろげる場となっています。わざわざ群馬や秋田や京都から来る人もいますので、私が講演に行く全国先々で、時間が許す限り患者さんたちと話をする、「出張おしゃべりルーム」を始めました。
子宮頸がんは検診で早期に発見出来れば、私のような後遺症はほとんどありません。オレンジティでは、早期発見をするためにも検診を受けてほしいと、患者の立場から啓発活動をしています。市町の「健康まつり」にブースを出展したり、イベントに参加したり、オレンジティが患者の立場で作成した啓発チラシなどを配っています。
 静岡県の子宮頸がん検診率は、わずか26%。74%の人が受けていません。子宮頸がんは20~30代の人が増加していますが、その年代の受診率は5~10%くらいしかありません。病気になって後遺症の大変さや、大切な人たちへ心配をかけてしまうことを考えれば、1年に1回の検診は、ぜひ受けてほしいです。

オレンジティ発の情報を全国へ発信していく

 みなさんは、乳がんの啓発をするピンクリボン以外にも、がんの啓発リボンがあることをご存じでしょうか。子宮頸がんの啓発リボンは、ティール&ホワイトリボンと言い、青緑と白がシンボルカラーです。私がアメリカに研修に行ったとき、病院の医師が子宮頸がんのリボンのことを教えてくれ、日本でもこのリボンで啓発を行うことにしました。地元の新聞が始めて記事に取り上げてくれ、記事が媒介となってリボンがほしい人が出てきました。現在、私は年間全国各地で40回以上の講演を行っています。こういった講演のときリボンを紹介し、多くの方に子宮頸がんという病気を知ってもらうようにしています。
 患者さんのサポートは、継続することに意味があります。同じ場所で、同じ時間に必ず開催すること、いつも同じサービスが提供できること。簡単なようですが、維持するのはとても大変です。これを、スタッフみんながボランティアで行っています。スタッフの存在が、オレンジティを支えています。スタッフのほとんどは、患者本人です。それに加えて医療関係者などが活動しています。今後、多くの方がボランティアでかかわっていただけると、もっと活動が開けると考えています。オレンジティでは、年会費はありません。参加したいプログラムごとに参加費をいただき、患者さんに経済的な負担をできるだけかけないようにしています。また、多くの企業や個人から寄付をいただき運営しています。
 今取り組んでいることは、オレンジティのような地域に根ざした女性のがん患者さんたちを応援するサポートグループを、地域ごとに作れないかとチャレンジしています。静岡県から始まったオレンジティの輪が、全国に広がっていくよう、これからも取り組んでいきます。

取材日:2010.12



静岡県熱海市生まれ 熱海市在住


【 略 歴 】

     
1999 子宮頸がん手術
2002 オレンジティ発足
2004 NPO法人女性特有のガンのサポートグループオレンジティ設立
2005 子宮頸がん検診のキャンペーン開始
2009 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議委員
子宮頸がん検診のキャンペーン開始

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