信念あるスクールを作りたい
小学生のころはオーストラリアに頻繁に滞在し、高校・大学はイギリスのインターナショナルスクールに通っていました。2000年に帰国しましたが、漢字は書けない、敬語も話せない、読むのも苦手。日本語能力が低くて恥ずかしかったので、勉強しました。
英語を仕事として教えることは考えていませんでしたが、英会話学校をみると英語を話せない経営者が多いし、外国人ならだれでも教師になれるし、お遊びで終わっているように思えました。信念のないスクールが多いと感じ、それなら信念のある、メインになるものがあるスクールを私が作ろうと思いました。
26歳のとき、何もわからない、財産も担保もない、嫁いできたばかりで知り合いもいない、でもスクールを立ち上げたいと、11月に計画を練って、12月にここを借りて、1月に会社を立ち上げて、2月にオープンしました。
「遊びでおわらないために」というのが私のモットーです。
ここならではの独自の教育方法
私のスクールでは、初めの導入部は外国人の先生が担当し、レベルアップは私の担当です。ほかのスクールは、最初は日本語の通じる日本人の先生、その後外国人の先生となりますが、あえてその逆をやっています。私の知る限り、この形をとっているスクールはうちだけではないでしょうか。それが受け入れられているので、成功していると感じています。
プリスクールは、幼稚園入園までの子が対象で、週1回、10時から14時までやっています。保育園みたいに子どもだけ。お母さんは付き添いません。遊ぶのも、ご飯食べるのも、トイレに行くのも、すべて英語で過ごすという環境を作っています。
K・LS(キンダーリスニングスピーキング)クラスは幼稚園児が対象です。私が担当すると、日本語が話せると思い甘えてしまいますので、外国人の先生が担当します。遊びで終わらせるレッスンは、したくありません。ワークブックは、知育的な、ネイティブの子どもが使うような形のオリジナルです。このクラスの特徴は、30分のプレイタイム。遊ぶ時間をわざわざ設けてあります。子どもは遊んでいるだけですが、レッスンでは習わないような言葉が出てくるので、子どもたちにとっては面白い時間です。そこから学ぶことって大きいですよ。開校当時幼稚園児だった子が、いま小学生になっています。お母さんが「プレイタイムで覚えた言葉がいまも残っています」「プレイタイムはよかった」といってくださいます。遊びのなかから身につけてくれることが、必ずあると思います。
小学生対象は、外国人の先生が担当するE・LS(リスニングスピーキング)クラスがあります。アメリカで行われているフォニックスという単語と音を教える教育を取り入れています。レベルアップしたE・RW(リーディングライティング)クラスは私が担当で、一般の子どもはフォニックスと英作文がメインで、帰国子女の子どもは現地の学校と同じスタイルで、社会や理科など一般知識を英語で学びます。このRWクラスの子と帰国子女クラスの子が、2006年から「ちびっ子イングリッシュコンテスト」に出場していますが、毎年3~6人が予選通過し、1~2人が受賞し、優勝もしています。私は、大学のコミュニケーション科でレベルの高いプレゼンテーションにもまれましたので、このコンテストの指導に向いているのかもしれません。
英会話って小学校でやめる子が多いですが、ここの子はずっとつづけています。子どもなりにメリットを見いだしているようです。開校して5年になりますが、継続率は90%以上。英語の学習をつづけてくれる子が多いのが、私の自慢です。ハロウインやクリスマスなどイベントも盛りだくさん。子どもたちが大好きな時間です。
現実は手堅く、夢は大きく
毎日通える幼稚園としての「プリスクール」を開きたいです。プリスクールは右肩上がりで伸びていますから、浜松にも大手の教室が進出してくると思います。それまでに、いまやっているプリスクールのノウハウを活用して、しっかりした形を作っていきたいですね。
うちの生徒の3分の1が帰国子女です。帰国子女の教育と心のケアをサポートしたいですね。私の子どものころと現状は変わっていなくて、日本語力や学力が日本にいる生徒と違うのに、なんのサポートもなく、日本の学校に入れられます。うちには帰国子女が多いので英語での会話ができる環境にありますが、学校にはありません。長く外国にいればいるだけ向こうの考え方になっていて、日本の環境になじむのが大変です。そこで、学童保育と英会話スクールが組み合わさったような感じで、低料金で子どもが毎日こられて、英語教育が受けられる帰国子女の場を作りたい。
総合的施設も作りたいです。子どもが塾に行くときお母さんは運転手でしょ。大変ですよ。私の理想は、学校が終わってここに来れば、ピアノ、習字など何でも先生が集まっていますという施設がほしい。お母さんは送り迎えが減って楽になります。ドーンとビルを建てて、1階は英会話、2階は…と子どもの国を作りたいな。宝くじに当たったら作りたいのはそれですね。
会社を大きくすることは難しいですが、堅実につづけていくのなら、女性のほうが向いているのではないでしょうか。ですから、着実に私のやっている教育を広めていきたいですね。そのための仲間もほしいです。いい仲間に出会いたいです。
取材日:2010.11